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ぼんじゅーる、アビジャンからです。
コートジボワールには、国立聾学校がひとつだけアビジャンにあります。
そこでは小学校課程のみを教えていて、中高は一般の学校にメインストリームして、聞こえる子どもと一緒に勉強することになります。
こちらではそろそろ学年末で、試験の真っ最中です。
聾学校に顔を出すと、ここの卒業生である中高生が空き教室で自主勉していました。
ろうの職員が私のところにきて、こんな話がありました。

職員  いま、中高生が来ていて、試験勉強しているんだけど
    ねこに英語を教えてほしいって
ねこ  いいよー! どんな内容?
職員  口頭試験があるんだけど、その英語の表現を知りたくて
    口形もつけてどんな感じかやってほしいということなんだ
ねこ  口形つけるの? 私、ろうだけど…
職員  ろうだからいいんだよ

声のモデルは聴こえる人のほうがいいですよね。
よくわからないので、直接話をしに行ってきました。

ねこ  ぼんじゅーる! どんなのやりたいの?
中高生 先生が声でしゃべるからその内容をやってほしい
ねこ  うむうむ。先生はどんなことを質問するの?
中高生 英語でどういうかわからない…
職員  手話でいいからやってみて、例えばで

そうしたら、「元気ですか?」「元気です、ありがとう」みたいな感じの会話をやってくれました。
学年末試験で挨拶の試験だけをするとは思えないので、もう少し確認してみました。

ねこ  それ、聞こえる生徒も受けるんだよね?
中高生 うん、1対1でやる。先生は紙を出す、答えは書く
ねこ  なるほど、わかった。準備するから明日9時集合!
中高生 やったー! ありがとうございます!

えーと、面接試験なんだよね。英検みたいにやればいいのかな、と準備してみました。
答えを英語で書いてもらおうと思ったのですが、リクエストがあったので、口形をつけて、アメリカの手話を使って英語の語順に対応して手話をつけました。
でも、いきなり最初の問題(自分の名前を答える)から答えられない子が続出。
I'm ...... と板書して、ここに自分の名前を書くんだよと説明し、赤ペンを持って周り、正解の子に丸つけをすると、「どうして?」と不服そうな顔。
やり方が違うみたいでした。
なんと、正解の場合は/(スラッシュ)を、誤りの場合は○(丸)をつけるそうです。
えええ、じゃあ私、正解なのに間違っているって書いたんだね? 
フランス語の語順なのかなあ、と思うような間違いもたくさんありました。
前置詞は私もフランス語でいくつか覚えたので、板書しながらやっていくと「ああそうなのか!」とわかってくれました。
「学校では聞こえる先生が手話なしで教えるから全然わからない。手話で説明してもらえたらよくわかる!」と言われて、思わずこみ上げるものがありました。

一人の子がプリントも持ってきて、「これも勉強したから試験に出るかもしれない」「でもプリントにある問題が分からない」というので、それは困るでしょ!ということで、見せてもらいました。
本文の内容がこの国の文化というか状況を表しているのかなと思ったので、紹介しておきます。

オビには彼女のクララがいた。
クララは病気で2か月ほど入院していたが、元気になったので退院し、自分の村に帰っていった。
オビは彼女からお金を借りていたが、返すことができなかった。
お金がなかったからである。
悪いことは続き、オビの母親が亡くなり、葬儀の費用をできる限り送金した。
自動車のガソリン代に使うより、現金を送る方が良かったからである。
しかし、村の人が、オビが母親の葬儀に顔を出さないのはとても恥ずかしいことだと噂をしてまわった。
息子(オビ)を教育のためにイギリスまでやったからには、もっと良い葬儀をすべきだというのである。
オビの上司が2日間の休暇を許可したので、オビは家のドアにカギをかけてベッドに寝ていた。
そこに友人のジョセフが冷たいビールを担いでやってきた。村の人たちもやってきて、オビにお悔やみを言った。ジョセフは村人にもビールをふるまった。皆が帰り、オビはひとりになった。

ざっとこんな話です。
う、うん。正直いって、一読したとき「何これ?」と思ってしまいました。
この話のオチは何なのでしょう?
そして、いたるところに「アフリカだな」と思わせられる部分がありました。
この話の舞台はナイジェリアなのですが(地名が出てきます)、社会的な面ではコートジボワールでも同じような感じなのです。
まず、コートジボワールでも、お葬式が多いです。
そうした場所に顔を出す、挨拶をするということがお金やモノより大切で、それをしないと悪い噂をされるというのも、あるあるです。
日本的に言うと、香典を誰かに託してお金を出すより、本人が顔を出すことが大事だというイメージでしょうか。
次に、友人が「冷たいビール」を持ってきたのは、最高の支援ですね。
冷房と冷えた飲み物は、最高の歓待です。
そして、なんだかんだと噂をしていても、お悔やみを言いに来るというところも、あるあるです。
来た人みんなに平等にビールを全部ごちそうしてしまうのも、あるあるです。

英語でこのようなアフリカ文学を見たことがないので、「これは?!」と衝撃を受けました。
手話で内容を読んでいくと、「手話ならわかる!」と何度も言われて、複雑な気持ちになりました。
これはもう既習の内容で、試験は明日なのですから。
授業でどんなノートを取ってきたのか、それも分かりません。
先生が口頭で話をしただけなら、ノートの取りようがないですよね。
「日本のメインストリームの状況はどう?」「どうやって大学まで行ったの?」という質問も受けたので、私の話をしてきました。

「政府にそれはおかしい、支援が必要だって言わないといけないね」と意見を出した高校生がいました。
おお、有望なリーダー候補だね。
ろう者として要望し、教育の状況を変えていってほしいです。
日本も、コートジボワールも。

気がついたら、意見交換を含めて2時間半も一緒に勉強していました。
中高生って、楽しいね。
勉強ができる子もいれば、勉強はあまり集中できないけれど反骨精神はあって「それはおかしい!」と要望していける子、よく気の付く子、お礼をちゃんと言える子、それぞれに話していて楽しかったです。
最後に記念撮影をして終わりました。
こちらでは日本と違って、小学生から各段階で試験に合格しないと進級できないのです。
フランス語の力がネックになって、落第し、そのまま社会に出ていくろう者も多数いるとのことです。
みんな、明日の試験がんばるんだよー! 



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2017.06.11 Sun l diary トラックバック (0) l top

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